紅玉。


赤が、深くて、小さい、林檎です。



初めて食べたのは、いつだったか、いつも考えるけど、
小学生くらいの、夕御飯のあと、母が切ってくれたものだったかな…、
というあいまいな答えに行きつきます。



いつも、切って楊枝を刺して、今日はなんていうリンゴだとみんなに
伝えてから、母は、家族の前に出してました。




隣で母が包丁で皮をむいて、その皮の色が、果実に作るような赤が、
不思議で。

果肉がやわらかいから、傷みやすくて。


酸味が強く、家族からは、不評だったけど、ボクは真ん中に蜜がある、
シャキシャキの林檎より、なぜか好きで、何よりその名前が、あの皮の
赤とぴったり重なっていました。


コウギョク。

母が行った音に、文字が重なったときの、腑に落ちる驚き。




進学で上京して、一人暮らしを始めてからも、季節が変わって、
スーパーの果物売り場に並んだのを見つけると、嬉しくなって、
買ってました。



まるい一つを、かじりながら、秋なんだなと、再確認する感じだったの
かもしれません。




好きな季節は、秋です。




この間、スーパーの中で見つけた赤。紅。

今年はまだ、食べてない。

なんだか、周りを見る余裕が、ないままの時間だったのかもしれない。




秋が終わる前に、身体に入れて、一度ゆっくり、俯瞰してみるのも、
大事かもしれません。




11月だ。




秋、本番。



酸っぱくても、傷みやすくても、何かに強く、存在を感じさせる。



少し、季節を感じないと、と思いました。