『東南角部屋二階の女』



金曜日。



試験明けの、一週間。



次の試験に向けての準備で、詰め込みの日々。



学生たちも、気持ちの持って行く場所がなかなか決まらず、
ふわふわしている様子。



ボクもバタバタこなしている時間が途切れると、一気に疲れる。



学生に、嫌なことも言わねばならず、ちょっとずつたまる
いろんなもので、気分転換ままならず。



昼間の窓からの陽射しは、何ともいえず、心地よいのだけど。








陽射し。


今日、帰りに映画を観にいきました。


授業後の進路面談が長引いて、観たかった作品の時間には間に合わず、
もう一つの作品にぎりぎりセーフ。



東南角部屋二階の女



良い作品でした。




西島秀俊加瀬亮、と雰囲気のある俳優さんが出てたので、
期待大だったのだけど、もっともっと、香川京子さん、高橋昌也さん、
塩見三省さんの、心にどっさり届く表情や言葉とそれを含む間。

何より、全編をとおしてある、温かい陽射しが、ゆっくり身体にも
届くようで、「癒される」とはこのことだなと、思えました。

『ゆれる』にも出てた竹花梓さんも、とてもキュートで。












カップのカフェオレを手で包み、画面に吸い込まれる約100分。





人生の理不尽さに戸惑い、反発し、翻弄される3人の若者。

生きてきた時間の重みを静かに眺めている、二人のお年寄りと、
その「人たち」の間を、鈍い熱さで繋ぐ、一人のおじさん。




それぞれが気付いていく、「生きていく」ということと、
自分の中の大切なもの。






もちろん、必ずしも、くっきりとした形あるものとして、
見えるものばかりではない。

でも、その何かの光のようなものに気づけることの素晴らしさを
教えてくれます。





東南の角部屋。

そこに射す、西日。

それに気づく、瞬間。





エンドロールの間に、残っていたカフェオレのかすかな温度を
舌の上で感じながら、あの陽射しの温かさを、想いました。



監督さん。

ボクよりずっと若い人だと知り、びっくり。
でも、その年代って、この葛藤って、感じる頃なのだよな。





何となく感じていた、気持ちの中の澱。

帰りの自転車では、それは少し薄まっていた気がします。





さ、気分一新、がんばらねば。



今日、間に合わなかった作品も、今度またチャレンジするべ。







金曜の夜。


とてもよい時間でした。